耐火煉瓦は、原料となる鉱物を粉砕するところから始まります。
鉱物は、産地などにより不安定である為、各工程で化学成分や強度などの検査を行っていますが、気温や湿度も耐火煉瓦の品質に影響するため、伝統工芸のやきもののように、製造職人の経験や気づきなども大切な要素になっています。ここでは、大まかな製造プロセスや機械について紹介します。
なお、各工程に品質検査がありますが、検査については検査品質管理のページをご覧ください。
耐火物は、様々な種類の原料を組み合わせるだけではなく、その粒の大きさの組み合わせに工夫がされていることが大きな特徴です。
粉砕の工程では、原料を「粗粉砕(20~100㎜)」「中粉砕(10㎜から数百㎛)」「微粉砕(1~10㎛)」「超微粉砕(<1㎛)」などに粉砕をします。
粉砕機は、求める粒度や粉砕物により様々ですが、次のような粉砕機が使用されます。
混合・混練の工程では、混ぜる、練りこむというイメージの作業がされます。
上記[1.原料粉砕工程]でも記載されているように、耐火物は、粒度の組み合わせは性能に影響するため、大小のもの、重いもの軽いもの、微量のものまでを均一に混合・混練することが必要です。
乾いた状態のもの、水分の多いもの、粘りのあるものなど、製品に合わせて機械を使用します。
不定形耐火物は、混合・混練工程後、成形・乾燥・焼成工程に進まず、出荷されます。
混合・混練機には、次のようなものがあります。
オムニミキサー、ミックスマラー、ストッツミル、ウェットパン、コナーミル、アイリッヒミキサー、ハイスピードミキサー、V型ミキサーなど
耐火物のうち耐火れんがは、混合・混練後、れんがの形状に成形されます。
様々な大きさや形がありますが、耐火れんがの多くは、プレス機で圧力をかけて成形し計算された密度になります。
プレス成型することで、しっかりとした密度となり、原料が強く結びつきます。
プレス機は、加圧方法により分類があり、さらに加圧の力の大きさも様々です。
日本国内の耐火れんがメーカーに1000基以上が設置されています。
耐火物の世界での‘乾燥’とは、常温での自然乾燥や焼成炉の余熱による自然乾燥だけではなく、乾燥炉などで数百℃というようなものが含まれ、一般的には後者を指します。
乾燥することで、原料同士の結びつきを強めたり、成形工程で入れていた、例えば水などの揮発するものを飛ばすことができます。
不焼成れんがは、熱処理工程を経て、焼成工程を経ずに出荷されます。
乾燥設備の例:トンネルドライヤー、チャンバー式乾燥設備、平床乾燥炉
成形され、乾燥を経たれんがは、高温で焼成され、耐火れんがになります。
製品により、焼成温度も様々ですが、量産設備では、トンネルキルンという焼成炉が多く使用されています。トンネルキルンでは予熱⇒焼成⇒冷却の工程があり、各社その仕様も様々ですが、数mから100m以上のものがあり、何日もかけて焼成工程がされるものもあります。
トンネルキルンの焼成温度は一般的に、普通焼成1500℃以下、高温焼成1500~1800℃、超高温焼成1800℃以上、と言われています。また近年、環境配慮の観点で、燃料が重油からLNG・LPGに移行されつつあります。
その他にも焼成設備がありますが、一般的に耐火れんがメーカーで使用されている焼成設備は、トンネルキルン、角窯、丸窯、シャトルキルンなどです。
焼成工程を経た耐火れんがは、必要に応じて様々な加工や仕上げが行われます。
加工の例としては、使用箇所の大きさや形状に合わせた切断加工や、表面処理があります。
出荷を控えた耐火物は、納入先の状況に合わせた梱包がされます。
耐火れんがは、やきもののように、衝撃で割れやすい性質をもっており、中には複雑な形状や、空間をもった形状の製品がある為、運搬中の摩耗や損傷予防の為に梱包の工夫がされています。
不定形耐火物では、水分を嫌うものや、水分が失われやすいものがある為、特徴に合わせて、梱包の仕方も様々です。納入箇所の使用状況に合わせて、大型のフレコンバック、小型の紙袋、 ビニルなどに梱包されます。